不況下での給与減に伴い、保険料収入は激減している。とりわけ中小・零細企業の多い協会けんぽは影響が大きく、09年度は6000億円の赤字を見込む。年収の8.2%の保険料率(全国平均、労使折半)を9.9%にアップしないと財政が破綻(はたん)する見通しとなり、政府は現在13%の国庫補助率を16.4%に高め、保険料率を9.34%に抑えることにした。
ただ、国も補助率を増やす財源を、所要額の半分、900億円しか捻出(ねんしゅつ)できなかった。そこで健保・共済組合が75歳以上の後期高齢者医療制度に拠出している支援金について、健保は500億円増、共済は350億円増の計850億円増とし、それで浮く税を新たに財源とすることにした。税で賄えない分を健保と共済に「つけ回し」する構図だ。
具体的には、後期医療への支援金(10年度計3兆5500億円)の算定方法を変える。今は健保、共済とも加入者数に比例した支援金額となっているが、一部を給与に応じた金額とし、人数にかかわらず給与総額が高ければ負担が増える仕組みに改める。中小企業中心の協会けんぽの支援金(1兆6600億円)は850億円減る。
協会けんぽの支援金も16.4%は国費だ。新制度では、給与総額に応じて支払う支援金への国庫補助がなくなるため、900億円分の国費が浮く。これを協会けんぽの保険料率抑制に充てる。
全体では500億円の負担増となる健保組合も、給与水準の低い3分の1強は負担減となる。しかし、健康保険組合連合会(健保連)によると、10年度は新制度抜きでも約9割、1295組合が赤字という。赤字総額は過去最大の6600億円に上り、352組合は保険料アップを予定している。健保連の白川修二専務理事は「国の責任で賄うべきであり、納得できない」と批判している。【鈴木直】
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